<input type="password">

<input> 要素の password 型は、パスワードを安全に入力する方法を提供します。 この要素はプレーンテキストの 1 行編集コントロールとして表示され、そのテキストは読み取られることがないように、1 つ 1 つの文字がアスタリスク ("*") やドット ("•") のような記号に置き換えられ、隠されます。 この文字はユーザーエージェントやオペレーティングシステムによって変わります。

試してみましょう

入力時の正確な動作は、ブラウザーによって異なる場合があります。 ブラウザーによっては、入力された文字を一瞬だけ表示して見えなくするものや、ユーザーがプレーンテキストの表示のオン・オフを切り替えられるものがあります。 どちらの手法も、ユーザーが意図したとおりのパスワードが入力されたかどうかを調べるのに役立ちますが、モバイル端末では特に難しい場合があります。

メモ: パスワードのような機密情報が含まれているフォーム(ログインフォームなど)は、 HTTPS で送信するべきです。 現在では多くのブラウザーで、安全ではないログインフォームの場合に警告を行う仕組みが実装されています。詳細は安全でないパスワードを参照してください。

パスワードを表す文字列、または空欄
イベント change および input
対応している共通属性 autocomplete, inputmode, maxlength, minlength, pattern, placeholder, readonly, required, size
IDL 属性 selectionStart, selectionEnd, selectionDirection, value
DOM インターフェイス

HTMLInputElement

メソッド select(), setRangeText(), setSelectionRange()

value 属性は、パスワードを入力するために使われているテキスト編集コントロールの、現在の内容である文字列を格納します。ユーザーが何も入力していない場合、この値は空文字列 ("") です。required プロパティが指定されている場合、パスワード編集ボックスが妥当となるためには、空文字列以外の値を含まなければなりません。

pattern 属性が指定されている場合、password コントロールの内容は、その値が検証をパスした場合のみ、妥当とみなされます。詳細は検証を参照してください。

メモ: 改行文字の LF (U+000A) と CR (U+000D) は password の値には許容されません。パスワードコントロールに値がセットされるとき、LF および CR は値から取り除かれます。

追加の属性

型に関係なくすべての <input> 要素を操作する属性に加え、 password 型の入力欄は次の属性にも対応しています。

maxlength

ユーザーがパスワード入力欄に入力することができる(UTF-16 コード単位での)最大文字数です。 0 以上の整数値である必要があります。 maxlength が指定されていないか、無効な値が指定されていると、パスワード入力欄には最大文字数が設定されません。この値は minlength の値以上である必要もあります。

フィールドに入力されたテキストの長さが UTF-16 コード単位で maxlength の長さを超えていると、その入力欄は制約検証に失敗します。

minlength

ユーザーがパスワード入力欄に入力することができる (UTF-16 コード単位での) 最小文字数です。これは非負の整数値で、 maxlength で指定された値以下である必要があります。 minlength が指定されていないか、無効な値が指定されていると、パスワード入力欄には最小文字数が設定されません。

入力欄のテキストの長さが UTF-16 コード単位で minlength の長さよりも短いと、その入力欄は制約検証に失敗します。

pattern

pattern 属性は、指定する場合は正規表現であり、入力欄の value制約検証に合格するためにはこれと一致しなければなりません。これは RegExp 型で使用される JavaScript の妥当な正規表現である必要があり、これは正規表現のガイドで記述されています。正規表現がコンパイルされるときに 'u' フラグが指定されるので、パターンは ASCII ではなく Unicode コードポイントの並びとして扱われます。パターンのテキストをスラッシュで囲んではいけません。

指定されたパターンがないかか無効である場合は、正規表現は適用されず、この属性は完全に無視されます。

メモ: title 属性を使用してテキストを指定すると、多くのブラウザーでパターンに一致する要件が何であるかを説明するツールチップを表示することができます。近くに他の説明テキストを配置する必要があります。

パスワードの入力には、 pattern を使用することを強くお勧めします。これは、さまざまな文字クラスを使用した有効なパスワードが、ユーザーによって選択され使用されることを保証するためです。パターンでは、大文字と小文字を区別するルールや、数字や記号の使用を義務付けることができます。詳細と例については検証の節を参照してください。

placeholder

placeholder 属性は文字列で、その欄にどのような種類の情報が求められるかについてのユーザーに対する短いヒントを提供します。これは求められるデータの種類を紹介する一語または短い句であり、説明的なメッセージではありません。テキストには改行を含めることはできません

コントロールの内容がある書字方向 (LTR または RTL) であるものの、プレイスホルダーを逆の方向に表示する必要がある場合、 Unicode 双方向アルゴリズム書式文字を使用してプレイスホルダーの中で書字方向を上書きすることができます。詳しくは、双方向テキストでの Unicode コードの使い方(英語)を参照してください。

メモ: 可能であれば placeholder を使用することは避けてください。フォームを説明する他の方法ほど意味論的に有益ではなく、コンテンツに予期しない技術的な問題を引き起こす可能性があります。詳しくは、<input>: 入力欄 (フォーム入力) 要素プレイスホルダーはアクセシブルではないを参照してください。

readonly

論理属性で、存在すれば、ユーザーが編集することができないことを表します。しかし、 value は、 JavaScript コードから直接 HTMLInputElement.value プロパティを設定することで変更することができます。

メモ: 読み取り専用フィールドは値を持てないため、 requiredreadonly 属性も指定されている入力欄には効果がありません。

size

size 属性は数値であり、入力欄の幅を何文字分とするかを示します。値はゼロより大きな数値である必要があり、既定値は 20 です。文字の幅は様々であるため、これは正確ではない可能性もあり、依存することはできません。結果の入力欄は文字数やフォント(使用中の font 設定)によって、指定された文字数より狭くなったり広くなったりすることがあります。

これはユーザーがフィールドに入力することができる文字数の制限を設定するものではありません。これは一度に見える文字数をおよそ指定するだけです。入力データの長さの上限を設定するには、 maxlength 属性を使用してください。

パスワード入力欄の使用

パスワード入力ボックスは通常、他のテキスト入力ボックスのように動作します。主な違いは、ユーザーの近くにいる人がパスワードを読み取ることを防ぐために、その内容を隠すことです。

シンプルなパスワード入力欄

以下は最も基本的なパスワード入力欄で、<label> 要素を使ったラベルとともに設置されています。

<label for="userPassword">パスワード: </label>
<input id="userPassword" type="password" />

オートコンプリートを許可する

パスワードを自動的に入力するため、ユーザーのパスワードマネージャを許可するには、autocomplete 属性を指定します。パスワードの場合、通常は次のいずれかの値をとります。

on

ブラウザー、あるいはパスワードマネージャが自動的にパスワード欄を埋めることを許可します。これは、current-password あるいはnew-password を使用するほど有益ではありません。

off

ブラウザー、あるいはパスワードマネージャが自動的にパスワード欄を埋めることを許可しません。いくつかのソフトウェアはこの値を無視しますが、それは通常、ユーザーの安全なパスワードの実践を維持する能力を、阻害するものであることに注意してください。

current-password

ブラウザー、あるいはパスワードマネージャがサイトのための現在のパスワードを入力することを許可します。この値はブラウザー、あるいはパスワードマネージャに、そのサイトの既知のパスワードを自動的に入力させ、新しいパスワードを提案するものではないもので、"on" よりも多くの情報を提供します。

new-password

ブラウザー、あるいはパスワードマネージャが、そのサイトの新しいパスワードを自動的に入力することを許可します。これは「パスワードの変更」や「新規ユーザー」フォームの、ユーザーに新しいパスワードを求める入力欄で使われます。新しいパスワードは、パスワードマネージャによって、複数の方法で生成される場合があります。単に新しく提示されるパスワードで埋めるかもしれませんし、あるいは新しいパスワードを生成するインターフェイスを、ユーザーに見せるかもしれません。

<label for="userPassword">パスワード:</label>
<input id="userPassword" type="password" autocomplete="current-password" />

パスワードを必須にする

ユーザーのブラウザーに対して、フォームの送信前に、パスワード欄に有効な値が入力されている必要があることを伝えるためには、 required 論理属性を指定してください。

<label for="userPassword">パスワード: </label>
<input id="userPassword" type="password" required />
<input type="submit" value="Submit" />

入力モードを指定する

推奨する、または必須となるパスワードの構文ルールが、標準キーボードよりも、代替となるテキスト入力インターフェースから恩恵を受ける場合、特定のものを要求するために inputmode 属性を使用することができます。この最も明快な用途は、 PIN のようにパスワードが数字で構成されていることを必要とする場合です。例えば、仮想キーボードを持つモバイル端末では、パスワードの入力をより簡単にするため、フルキーボードの代わりに、数字のキーパッドレイアウトに切り替えることを選択するかもしれません。 PIN が1回限りの使用であれば、 autocomplete 属性を off または one-time-code のどちらかに設定してサジェストが保存されないようにしてください。

<label for="pin">PIN: </label>
<input id="pin" type="password" inputmode="numeric" />

長さの要件を設定する

普通、minlength 属性や maxlength 属性を使って、許容する最小の長さと最大の長さをパスワードに適用することができます。この例では、直前の例を拡張して、ユーザーの PIN が 4 〜 8文字でなければならないことを指定しています。size 属性は、パスワード入力コントロールが 8 文字分の幅であることを保証するために使用されています。

<label for="pin">PIN:</label>
<input
  id="pin"
  type="password"
  inputmode="numeric"
  minlength="4"
  maxlength="8"
  size="8" />

テキストを選択する

他のテキスト入力コントロールのように、 select() メソッドを使って、パスワード欄のすべてのテキストを選択することができます。

HTML

<label for="userPassword">パスワード: </label>
<input id="userPassword" type="password" size="12" />
<button id="selectAll">Select All</button>

JavaScript

document.getElementById("selectAll").onclick = () => {
  document.getElementById("userPassword").select();
}

結果

また、selectionStartselectionEnd を使って、コントロールの文字がどの範囲で選択されているかを取得または設定することができ、selectionDirection を使って、どの方向に選択が発生したのか(あるいはどの方向に広がるのか。プラットフォームに依存します。詳細は各ドキュメントを参照してください)を知ることができます。ただし、テキストは隠されているため、有用性はやや制限されます。

検証

もしアプリケーションが文字セットの制限を有している場合、あるいは入力されたパスワードの実際の内容について、他の何らかの要件がある場合には、pattern 属性を使って、パスワードがそれらの要件に合致しているか自動的に確認するための正規表現を設定することができます。

この例では、4 〜 8 文字の 16 進数の数字のみが妥当です。

<label for="hexId">Hex ID: </label>
<input
  id="hexId"
  type="password"
  pattern="[0-9a-fA-F]{4,8}"
  title="4-8 桁の 16 進数で ID を入力してください"
  autocomplete="new-password" />

社会保障番号の要求

この例では、有効なアメリカ合衆国の社会保障番号の形式に合致する入力のみが受け付けられます。これらの数字はアメリカ合衆国において、税や個人の識別を目的として使われており、その形式は "123-45-6789" です。各種、それぞれのグループ内でどのような値が許可されているかについてのルールも存在しています。

HTML

<label for="ssn">SSN:</label>
<input
  type="password"
  id="ssn"
  inputmode="numeric"
  minlength="9"
  maxlength="12"
  pattern="(?!000)([0-6]\d{2}|7([0-6]\d|7[012]))([ -])?(?!00)\d\d\3(?!0000)\d{4}"
  required
  autocomplete="off" />
<br />
<label for="ssn">Value:</label>
<span id="current"></span>

ここでは pattern を使って、入力される値を、正当な社会保障番号を示す文字列に制限しています。明らかに、この正規表現は、妥当な SSN であることを保証していません(社会保障局のデータベースにアクセスしているわけではないので)が、その番号が SSN になり得るものであることは保証しています。一般に、値が妥当になり得ないことを避けています。加えて、3 つの数字のグループがスペース、ダッシュ ("-") で区切る、あるいは区切らないことを許容しています。

inputmodenumeric にセットされ、より入力しやすくするために、仮想キーボードを持つ端末が数字キーパッドレイアウトに切り替えることを支援しています。minlengthmaxlength がそれぞれ 9 と 12 にセットされ、値が 9 〜 12 文字 (前者はグループ間の区切り文字無し、後者は有り) であることを要件としています。 required 属性は、このコントロールが値を持っていなければならないことを示すために使われています。最後に、 autocomplete"off" にセットされており、これはまったくパスワードではないので、パスワードマネージャーが値をセットしようとすることを回避しています。

JavaScript

これは実にシンプルなコードで、入力された SSN を見られるように、画面に表示するためのものです。これは明らかに、パスワード欄の目的を損ねるものですが、pattern を試すには役立ちます。

const ssn = document.getElementById("ssn");
const current = document.getElementById("current");

ssn.oninput = (event) => {
  current.textContent = ssn.value;
}

結果

仕様書

Specification
HTML Standard
# password-state-(type=password)

ブラウザーの互換性

BCD tables only load in the browser

関連情報